ウォーターフォール型からアジャイル型へ。組織マネジメントについて社長に聞く
株式会社日昇では不定期に組織変更を行い、各スタッフの役割分担を微調整することがよくあります。 他社と比べて、おそらく多い方ではないでしょうか。
2019年9月からも、EC事業部・IoTグループの組織構成とメンバーの役割を変更することが決定しました。そこで、社長に今回の組織変更の意図や目的をインタビューしてみました!
新しい組織の詳細と意図について
今回の組織変更では、組織がどのように変わりますか?
今まではいわゆる「ウォーターフォール型」の組織でした。
ウォーターフォールとは名前の通り、水が上から下へ落ちるイメージ。商品を開発・調達して販売するまでの役割分担を工程ごとに明確にします。
それぞれの工程が終わると次の工程に進み、前の工程には戻らないやり方です。
今までの日昇で言えば、マーケティングの部署は一番上流で専門的にデータ分析した結果を、プロダクトデザインの部署に案件を引き渡す、みたいな。
ウォーターフォール型は工程の中で確実に成果物を作って次に引き渡すので、全体的な計画やスケジュール立てやすいんです。システマチックなので新入社員でもやるべきことが明確で、ノウハウを共有しやすいメリットがあります。
お話を伺うと、今までの組織も悪くないような…?なぜ今のままではだめなんですか?
ウォーターフォール型には日昇の組織マネジメントにおいて大きなデメリットがあるんです。現在の組織を運営していく中で問題が2つ見えてきました。
1つは開発から販売までが長期化しやすいこと。スピード感を持って成果物を創ることが難しいんですよね。
進行中の案件に改善・変更が生じたときに大きなロスが生まれ、商品の発売が遅れるケースを発生させてしまっていました。
もう1つは、決められた範囲以外の仕事がなかなか見えなくなること。原因は社員数が増えてきたことも影響していると思っています。
大きな組織では役割分担が明確になる反面、仕事が「自分ごと化」しづらいんですよね。
ある程度のサイズのチーム内で仕事を回していれば、自分が関わっているプロジェクトの全貌が見えます。
ウォーターフォール型からアジャイル型への移行により業務が「自分ごと」になりやすく、成長機会となると思っています。
「スピード」や「小回りを効かせる」は日昇の強みですもんね。業務の進め方の仕組みが、日昇の強みとマッチしていないということですね。
そう!だから強みを活かせる組織形態に生まれ変わります!これからは「アジャイル型」に変更するところが大きいポイントです。
ウォーターフォール型からアジャイル型へ
「 アジャイル型組織」とはどんなものか、教えてもらえますか?
アジャイルとは「俊敏な」を意味する意味です。アジャイル型組織では、製品の開発から販売までにおいて「機動性」を重視します。
そして、市場の状況やお客様のニーズ、社会全体の変化を素早く察知しながらPDCAを回し、素早く対応ができる組織を作りたいです。
そのためには、今より多くの権限をチームに移譲する予定。チームのメンバーは裁量を持てて自由度の効く働き方ができる代わり、責任も重くなります。
だけど、やりがいや成長につながることは間違いないはず!
それにあわせて、「OKR」という新しい目標設定・管理ツールを導入しようと思っています。
「OKR」ですか?今日は新しいキーワードがたくさん出てきますね!
会社にどんどん新しいものを取り入れたいからね!
OKRとは目標の設定・管理方法のひとつで、Objectives and Key Results(目標と主要な結果)の略称です。チームや個人ごとに目標設定し、その目標を達成するために何を行うかを決めていきます。
OKRのゴールはすべての従業員が同じ方向を向き、明確な優先順位を持ち、一定のペースで計画を進行することです。
Googleやメルカリが導入している話を知り、興味をもっていろいろ調べたのが導入のきっかけ。VUCAの時代において、時代の変化に対応する為にピッタリな目標管理法だと思いました。当社の社風にもマッチしていますしね。
当社のあり方も時代にあわせて変わらないといけないと思っています。今回、会社のミッション・ビジョンを一新しました。これらを浸透させるためにOKRは有効だと感じました。
たとえば、「話題性のあるプロダクトを作りバズらせる!」という目標(O)を立てたグループは、「期間中にプライベートアイテムを5商品開発する(KR)」「インフルエンサーに5アイテム投稿してもらう(KR)」などと行動計画を考えて実行していくんです。
新しい組織に改変することで、どんな成果を期待していますか?
権限を移譲する結果、個人個人の責任は重たくなります。そのかわり、みんなイキイキと仕事を楽しめるはずです。仕事とプライベートの境目が薄くなる人も増えるかも。
たとえば、照明を開発している人は飲食店などの商業施設では必ず照明器具をチェックしてしまうクセが付きます。私も経験がありますね。あとは旅行に行ったり、子供と遊んだりしているときに新たなサービスや企画を思いついたり。
カキウチさん(※インタビュアー)も家具の商品企画を担当していたので、そんな経験あるんじゃない?
私もたしかにそうですね!カフェに行くとテーブルや椅子は自然とチェックしますし、どこのメーカーの商品かすぐに気づくことはありますね。他にも「自社の商品だったら何をコーディネートするかな?」とか考えたり!
だよね。カキウチさんが担当していた頃は、まだ組織が大きくなっていませんでした。だから、全員が自然とそういう考え方を持ちやすかったと思います。
人数が増えて役割分担が多くなると、与えられた枠内だけで仕事をしてしまいがち。このままだと「自分ごと」の感覚をもつのは難しくなると考えています。
最初に言われた「仕事とプライベートの境目が薄くなる」お話は、最近話題になっている「ワーク・ライフ・バランス」とは相反する考え方なのでしょうか?
最近の風潮だと「ワーク・ライフ・バランス」ってプライベートを大事にする意味で使われがちですが、相反してはいないですね。もともと「ワーク・ライフ・バランス」を直訳すると「仕事と生活の調和」です。
残念ながら現状では、社員の生活を脅かす会社が存在するからこそ「仕事とプライベートをきっちり分けよう!」という考え方が出てきているのではないでしょうか。
でも、働きすぎない自由があるのと同時に、働きたい人は働ける自由もあるはず。
「仕事とプライベートの境目が薄くなる」と、プライベートでも自然と、仕事についていろいろ吸収・成長する時間が長くなります。注目すべきは、その状況が自発的か会社に強制されているのかどうか。だから単純にプライベートの時間が仕事に侵食されるのとは違うはず。
まだまだ理想論かもしれないけど、仕事と遊びの境目が薄いから「(責任は持ちつつも)会社で遊んでいる感じ」になるといいなと思っています。
「遊び」のような楽しい感覚で働けると、仕事に対するモチベーションが向上しますよね。そんな社員が増えれば、会社としてもよい結果につながると思っています。 社長の立場からは、社会の状況にあわせてどんどん方針をアップデートしていきたいです。社員が働きやすい環境を作っていこうと思います。
新しい組織を支えるメンバーに必要な資質
新しい組織に適応するためには、社員にはどんな資質が必要だと考えていますか?
「自己成長したい想い」と「チャレンジ精神」を持って仕事に挑戦できること!
最近、クランボルツ教授の「計画的偶発性理論」に興味を持っています。
この理論では「個人のキャリアは予想しない偶発的なことによって決定される」と言われています。たしかに5年前10年前から、今の状況を正確に予測できている人は少ないですよね。社会の状況も自分自身のキャリアについても。
そもそもVUCAの時代に、自分のやりたい仕事が5年後・10年後にもあるかどうかなんてわからないですからね(笑)。自分がどのようなことに才能や興味があるのかを狭い範囲で決めつけてしまうと、視野が狭くなります。
新しい組織では、いろいろなことを自分ごとにして取り組まなくてはなりません。社員一人ひとりが「チャンス!」と捉えて取り組んでほしいです。そうすると気づかなかった自分の才能や仕事の楽しさが見つかるはずです。
繰り返しになりますが、「自己成長したい想い」と「チャレンジ精神」を持って仕事に挑戦できること。これが日昇の社員の資質として、非常に大事だと思っています。
社長、本日は貴重なお話をありがとうございました!
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